2024.2.5

 四本脚の蜘蛛は人と虫どちらに近いのかと問いかける将軍様は 36インチのテレビから引きずり出される時に頭をぶつけて怒り心頭のスフィンクスの二面ダイスが3回連続で素数を出す確率はいくらかという謎かけに答えられず 代償としてのっぺらぼうの大いなるマネキンとなった。
 時と心とカフェオレに可逆性は無いが 全身白紙の巨人はタブララサマンとして決して混ざらない直立不動のミルクのように世界の攪拌に抗っている。タブララサマンはそうしてせき止めたこの星の自転のエネルギーで気ままに奇跡を起こし かねてより切望していた気になる子たちにカタツムリの殻を背負わせるという願いを叶えた。
 渦巻き被害者の会の入会者は実際に渦巻きを背負っている人物よりも遥かに多くなり 潜在的に渦巻きを抱えている人物は思いのほか多かったのだとその時気づく事になる。生きるマドラーだという事であのそり立つ白濁した巨人の目を回そうと思い飛び込んでみれば会員制乳海だったことが判明。渦巻き被害者の会の会員は乳海入会者にもなり 須弥山かわりのサボテンの塔が屹立する。
 タブララサマンがこっそりと蓄えていた自転のエネルギーは崩壊し 辞典という形而下の形を持って描写される。あらゆる文字が隕石のように文脈を無視して飛び込み 修正の赤ペンで染まった溶岩の海にサボテンの針が雨となって降り注ぐことで文意は冷えて固まり 明喩と隠喩が皺だらけのの紙面の上で辞典に掲載される時の単位の中で最も長いものよりももう一文字分だけ長い時間をかけて生まれた最初の生命は極彩色の虎だった。